平和祈念像パフォーマンス

Performance
2014

 長崎市の平和公園には、北村西望 作の「平和祈念像」(1955)が鎮座している。高さ9.7m、重量約30tの青銅製の巨大な彫刻である。台座には、「右手は原爆を示し、左手は平和を、顔は戦争犠牲者の冥福を祈る」と作者の言葉が刻まれている。経年劣化による修復工事の度に塗り替えられ色が変わっており、竣工当時は青銅製のパーツの表面に直付けされた石膏で白色だったようだ。

 平和公園は、毎年8月9日に平和祈念式典が催され、参列者はこの像の前で平和を祈り、全世界へ向けた平和宣言がなされる。

 長崎を訪れる観光客や修学旅行生の多くは、原爆資料館や平和公園を観光(学習)コースに入れている。右手を高く上げ、左手を水平に伸ばす独特のポーズを真似て記念撮影する旅行者の姿も散見する。平和祈念像は言わずと知れた同県のシンボルであるらしい。だが、広島の原爆ドームのような象徴ではなく、原爆の惨禍を物語る遺構の不在を示しており、それは広島とは異なる去勢された被爆都市の象徴であるように思える。

故にこのパフォーマンスは「浦上天主堂再現プロジェクト」の対となる作品である。